杖大師から鎌大師へ 区切り遍路40日目①からの続きです。
愛媛県松山市から今治市へ向かう海沿いの道から逸れて鴻之坂越えの峠を迎えます。
浅海地区が見渡せる綺麗な休憩所。
奥にテントが張れそうなスペースを知っていたので、野宿候補地で一度は泊まってみたい景色のいい場所。
とは言え、風呂がね!ここ大切!
峠は道路工事によって車両通行止め。
遍路道には影響なく”河野坂”を下り浅海地区へ下ります。
鴻之坂越えには遍路石あり、鎌大師と言う番外札所あり、下ると阿弥陀堂でしょうか?六地蔵と思われるものも見かけました。
浅海地区には思い出もあり、2巡目の時、浅海大師堂で一泊させて貰ったり、車で八十八ヵ所を回っている時は、仁王立ちする地元のおじさんに車を止められ怒られたりした土地。
実は、個人的に妄想している『遍路宿を立てるとしたら何処!?』の1番候補にしていた地区でもあります。
久万高原町から松山市へと遍路が宿泊する場所で予測しやすい地域はありますが、松山市から先がちょっと空白地帯と感じていたのです。
数年前にこの地区に遍路宿が改装中と見た記憶があり、その宿を探しながら歩きましたが見つかりませんでした。
国道へ下り、浅海地区の地蔵堂(番所跡)から裏路地を進むと、これまた個人的な珍百景。
ちょっと緑が生えすぎてますが、みなさんは写真に写る目の前の山を見て何に見えるでしょうか?
丁度正面にJRのトンネルがあり、他の時期にはそう見えやすいのですが…、俺にはこの山が鯨に見えるのです。(トンネルが目)
いかがでしょう?
そんな海沿いのガードレールに守られ、地べたに座り込みお湯を沸かす。
長引くアスファルトに足の痛みが落ち着かず、鴻之坂越えの疲労も重なって、突然の休憩です。
因みに、この付近に”窓坂”と”ひろいあげ坂”と呼ばれる遍路道もあったそうで、以前より確認したかったのですがこの時はパスすることにしました。
えひめの記憶を見る限りでは通行困難と判断しましたが、後に情報を調べたところ歩いた情報もいくつか見られたため、次回挑戦しようと思います。
篠山道も同じく、その情報サイトによって書かれている表現もそれぞれなので、しっかりと調べてみると意外と歩ける遍路道もあるようです。
道路脇なのでゆっくりも出来ず、犬も目立つのでコーヒーをサッと飲み、海沿いをトボトボと進みました。
海は綺麗だし、ガードレールに守られて歩きやすい。
しかし、いつ以来なのだろうか?忘れてたアスファルト地獄の苦しみに「これこれ…」と本当に1歩1歩が辛い…。
長く遍路を忘れてた気分。
荷物が何十kgかあり足の腹が潰され痛むので、こうした時はスリッパからトレッキングブーツに履き替えます。
マメ知らずの快適なスリッパではありますが、足の腹が潰れてからは底が分厚く硬いトレッキングブーツの方が足を守ってくれて凄く楽。
この辺りの珍百景その2、これは有名すぎる”夜逃げやグループ”とコンテナに書かれた看板。
確か中は事務所のようになってたような…、本当に謎なものです。
わたくし、あだちは一般人離れした人生を送らせて戴いておりますが、お陰様でまだ夜逃げの予定はございません!
その先の瓦で有名な菊間地区は意外と町です。
九州から四国へ来る身としては、下灘駅で有名な大洲市長浜から伊予市まで続く国道378号線にそっくりなこの道。
お山さん「ここ下灘駅のところだっけ~?」
俺「ちげーし」
自分で調べ、自分で運転し、歩かなくては、いつまでもこうなる。
菊間の中心部にある貴重なお宿、マリーナシーガルが見えてきました。
1巡目は松山市からここまで頑張って歩いたけど、荷物が軽いから出来たことですね。
お宿に見えませんが実はお宿と言う、海が綺麗でお気に入りの1つでした。
菊間の中心部に入り、番外札所遍照院へ。
この日は子連れが多く境内が少し賑わっておりました。
当然、
こんなですから目立ちます。
犬が触りたいけど、大きくてちょっと怖い、そんな子がよくいます。
親としてはこの機会に触らせたい…。
そんな時は「こっち(カイ)は大人しいから大丈夫だよ~。こっち(クウ)は人が好きだから飛んでくるよ~」と言い、カイを触らせます。
クウはその横で嫉妬します。
丁度昼を迎え、遍照院の横にはコンビニがあるのでそこで休憩することにしました。
ここからは伏せるか迷ったことがあり、ちょっと…、濁して…、書くことにしますね。
ここに来るまでのとある所で、俺はお腹が空き、たまたま目にした大好物の店に入るか迷っていました。
とりあえず重いザックを置かないとと、ザックをその場に下ろし、犬がいるため交代で店で買い物を済ませます。
俺は大好物の店に行くつもりだったのでお山さんが先に買い物を済ませるのを待っていました。
すると犬をみた俺の大好物の店の店主が外に出てきて俺に話しかけてきました。
すげ~、ヨダレだらだら流しながら…
俺は即座に、その店に入ろうとしてた自分が恐ろしくなりました。
「犬が好き」だと話しかけてくる店主ですが、呂律が回っていないし、極度のガラガラ声で、聞き取り辛く、しかもこっちの声も殆んど聞き取れていません。
根気強く会話に耐えるのですが、なかなか店に戻ってくれず、一旦切り上げれたと思っても、また話をしに戻ってきます。
その間ずっと、ヨダレ…、ダラダラ!そして!手で拭く!しかし更にヨダレ!
おっちゃん!俺は同じ料理人として、その姿で店一軒持っているあなたが本当に不思議だよ!
俺はあなたの作る料理を絶対に食べたくねぇんだ!
心の中でずっとそう叫びながら、俺はその店に入るはずだった自分が本当に怖くなりました。
一歩間違えれば地獄でしたね…。
そして、入って行く客…。
俺(元気でな…。アバヨ…。俺はあんたの勇気を忘れないぜ。)
“知らぬが仏”は皆さんそれぞれ経験しているでしょう。
転職歴の多い俺は本当に沢山のことを見てきましたが、この世はかなり適当に出来てるもので、いちいち気にしてたら俺みたいな病気になるぜ。
ヨダレおっちゃんから足早に逃げ、菊間の中心部を歩くと温泉の文字が目に入る!
もう頭の中は「やった~、こんな所にお風呂見っけ~!入るぞ~!」と天国!
しかし、冷静な自分がこう言う。
俺(本当は分かってるんだろ?見るからに閉店してる…)
見りゃ分かるわ!
いつも気になる豪邸の塀の所にひっそり遍路石。
遍路石もだけど、この家、豪邸過ぎて、どんな生活してるのか、どんな人なのか見てみたいですねえええ。
ってな感じで淡々と海沿いを今治目指して歩くのでした。
カイに比べて5kg小さいクウ(20kg)はいつも一生懸命歩いてます。
カイは少し疲れやすい子。
どちらも保護犬を譲渡して貰ったので年齢は分かりませんが、生きてる限り日本全土ぐらいは見せてあげたいなと思います。
クウカイ「歩くのは勘弁!」
俺「うん」