遍路

戸たてずの庄屋と歓喜光寺 区切り遍路33日目 ③

正木の集落に入ってすぐにガソリンスタンドの廃墟を見て、田舎でよく見かける光景に寂しくなりました。

遍路が歩くアスファルトの道でも、その殆んどは旧道とか、旧旧道とかそんな部類に入ると思うので本当によく見かける寂しい光景です。

その先には綺麗な学校があります。

高知県宿毛市愛媛県南宇和郡愛南町篠山小中学校組合篠山小学校と、

高知県宿毛市愛媛県南宇和郡愛南町篠山小中学校組合篠山中学校が同じ敷地に建ってます。

因みに俺の出身小学校は、都城市立〇小学校です。

何が言いたいか分かりますよね?

番外札所の歓喜光寺を探しながら正木の集落を歩きます。

ここら辺になると遂に篠山がハッキリと目の前に現れます。

「あれか!(左奥の山)」と嬉しい気持でワクワクしながら歩きます。

現時点ではまだ篠山神社までは8㎞ほどあります。

ちょうど昼時でもあったので、昼ご飯休憩に近くの畑のあぜ道へ。

腰を下ろせる場所がなかなか見当たりません。

昼食はカップラーメン。

ここまで店は無く、遠くに自動販売機を1つ確認できただけ。

軽食でそれなりにお腹も満たせるカップラーメンは便利ですよね。

ゴミが大きいのが難点とその分の水も落ち歩くのは大変です。

昼食を終えて少し歩くと集落へ向かう旧道と、その横を走る綺麗な道。

歩き遍路をしているとよく見る風景です。

勿論、遍路が歩いたであろう道は左だけど、地図をよく見て道を選びます。

 

地図を見ていても初めて歩く道は本当に難しいですね。

道のカーブの形などから現在地を特定しますが、距離感までは掴めない。

地区の名前を見ても地元じゃないからピンとこない。

長く遍路ではご無沙汰していた感覚。

地図を見なくても歩ける道より、こっちの方が緊張感もあって本当に楽しいです。

勘はあっていたようで、ここにこのルートでは有名な戸たてずの庄屋がありました。

目印ポイントだったのでホッとします。

はえー話、

ここにある巨大な楠に天狗がよくきて悪さをしてたもんだから家主が天狗めがけて矢を放ったら天狗に当たって羽が落ちたとさ。

すると天狗が「羽を返してくれ」と言うから返してあげたら、御礼に「この家に盗人が入らないようにしてやる」と言って天狗は篠山に飛び立ったそうな。

その後、この庄屋は一切戸を閉めなかったことから戸たてずの庄屋と呼ばれたらしい。

じゃあ、俺が試しに入ってやろうか?

そして、その横に書いてあるのは、皆さん大好きくーかい伝説です。(聞き飽きた)

こっちでは「くーかいパワーによって盗人が入らない」と書かれております。

どっちやねん。

俺はくーかいよりSECOMの方が絶対に役に立つと思います。

とは言え、真念の頃から既に戸たてずの庄屋の話が書かれていたということは、遍路の大切な場所でもあるのですね。

 

SECOMしてますか?

 

とても立派な屋敷を通り過ぎたらその横に、

徳右衛門の遍路石。

風化しており全く読めませんが、その横に案内が書いてありました。

「これより さゝ山へ 二り」

まだ8kmありますね。

山を含めた8kmなので物凄く時間がかかるでしょう。

遍路石の行くには番外札所の歓喜光寺がありました。

関係者の方が掃除をされていたので挨拶をして犬の立ち入りの許可を貰います。

曹洞宗のお寺でありますが、神仏分離の影響で廃寺となってしまった40番奥之院篠山観世音寺の本尊など多くがここに移されたそうです。

ここに来ればまだ今は無き観世音寺を感じられると絶対に立ち寄りたかった場所。

境内を見て回ると篠山大權(権)現の文字が目に入ります。

お山さんの遍路スタイルを見て関係者の方が「90段ほど上るとありますよ」と案内してくれました。

そこからそこですがザックを下に置いて上ります。

ここら辺から既にカイには疲れが見え始めてトグロを巻いたまま中々立ち上がってくれなくなりました。

カイは下で留守番です。

階段を上った先にひっそりと観世音寺の本尊を祀ったお堂がありました。

特別な思いを感じながら読経します。

そして観世音寺の本堂にも挨拶を済ませて篠山に向かって出発。

観世音寺のお堂やあちこちで島津の家紋である、丸に十字を見かけましたがどんな関係があるのだろう?

さて、ゆっくりもしてられません。

と言いつつ、宿に縛られていないのでゆっくり進みますが、目標は篠山の山頂です。

出来ることなら野宿で区切らず一気に山頂まで登りたい。

 

少しずつ近づく篠山。

途中で、再び旧道に入ってみたけど遍路道が見つけられず新道に戻ります。

その外れに本日2つ目の自動販売機。

札掛からここまでで2ヶ所は水分補給出来そうですが、店は一軒も確認出来ませんでした。

ここに道しるべを残しますので、篠山道を歩かれる場合はしっかり準備をして下さいね。

結論から申し上げると、この翌日がこの旅のピークとなると思います。

あれ程、米や食料を背負った我々でも食糧難が待っているとは思いませんでした。

 

残りのお米ちゃん 7合 1050g

非常食はそれなりー。

 

 

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