窪津までの過酷な遍路道 区切り遍路25日目③からの続きです。
ここまで来れば、もうアスファルト道です。
前を歩くのび太君とカイの足取りも軽く感じますね。
それにしてものび太君の背負っている物をよく見ると凄いですね。
手拭いを何枚もぶら下げて、ゴミ袋は両サイドに下がってますね。
俺は20kgを超える荷物を持っているので歩くのは大変です。
しかし、この犬が俺の前を歩き、リードで道を塞ぎます。
俺の前を歩くか、俺と並走するか、時々隙を見て追い越しますが、歩くスピードを上げ並走してきます。
そして、徐々に接近してきて、優しい俺は道を譲るのでまた先を歩きます。
俺が前を歩き、遅いビーニャを振り返れば、俺の目をチラチラ見ながら明かに誇らしげに歩きます。
既にこの犬、四国病ですか?
通し打ちをした時にお世話になった金平庵に着きました。
それにしても度々言われていることではありますが、黄色い遍路地図の尺度おかしくないですか?
この金平庵はシャワーを浴びれる有難いところですがビーニャさんには超不評です。
確かに、あの建物内の傾斜に寝るのは凄く大変。
未だにここで見た恐ろしくデカい蜘蛛を超えるものとは出会ってないし…。
しかし、それでも俺はシャワーなのです!
変わってないなぁ…。
ここからお寺まで6.5kmあり、まだまだ遠いです。
休憩を挟みながら足摺岬手前まで歩いて来ましたが、足摺岬と言ったら木のトンネルの印象ですね。
今回の遍路でここまで歩いてきて足摺岬が難所と言われていた訳を知ることが出来ました。
そしてやっと到着です。
この寺は見るたびに変わっていくなぁ…。
面影がどんどん無くなっていく…。
観光地に建つお寺ならではで潤っているのでしょう。
この大きな池もあの頃は無かったなぁ。
お寺の変わっていく様子をずっと見てきました。
寺や本坊に次々と追加される仏像や巨大で高価そうな鍾乳石のような石達。
それにしてもお遍路さん減ったなぁ…。
境内がガラガラです。
これだけ四国遍路を見てきたら、その理由も分かる気がします。
さて、次の御寺へは73kmですか。
今回は一般的な三原村経由ではなく20km遠回りの月山神社ルートで行きます。
打戻ルートではないので久し振りに足摺温泉の方へ来ました。
右に写る椿荘と言うホテルは、1日で破れ果てた歩き遍路の次の車遍路で泊まったホテルで凄く思い出の地です。
あの窓から大量のビールと大量の処方薬を流し込みながら「霊が海に一杯浮かんでいる」と足摺岬の海をボーっと見てたなぁ…。
あの頃は我が身に何が起きてるのか分からず苦しんで。
自分の中にある苦しみの意味が分からず苦しんで。
親父から受けた虐待の記憶が1日の大半を占め、そんな生活が何年も続き、怒り、呪い、恨み…。
“虐待”の経験が俺の人生をここまで生き辛くしていたのだと、自分で自分に説明が出来るようになったのはそのずっと後の話。
あの頃は多いときには月に2回、高速道路の整備が遅れる南九州から必死に四国に足を運び苦しみを癒して貰ってました。
そんな思い出がまざまざと甦ります。
今日の宿泊予定地はここから約3km先の遍路小屋足摺。
しかし、その前に2ヶ所あるはずの日帰り入浴できるホテルを探します。
1つは高台の上にある足摺テルメというホテル。
もう1つは1km先の入浴料金1000円のところ。
入浴に1000円も払うのか、道を逸れて高台に登るのか迷いながら歩いてる時に目に入った公園に、
“キャンプするときは奥の広場で”との文字が!
なんと、事前情報には無かったキャンプ公認の公園がありました。
野宿遍路をしてると、公認されているか、されていないかで安心感が全く違います。
ここは水道もトイレもあります。
看板に案内されていた奥に行ってみると環境も良さそう。
しかし、ここで野宿するとなると今日の移動距離はたったの17km程度となり、余りにも短いのが気になります。
しかし、あしずり遍路道で予想以上に時間と体力を奪われ時間は既に16時前。
それに日帰り入浴後の冷え込みを考えると、ここにテントを張ることを決めました。
しかし、テントを張り終えて問題が発生しました。
ネットの情報を鵜呑みにしてしまい、近所のホテルが日帰り入浴出来ると信じこんでしまっていました。
確認して日帰り入浴が出来ないことを知りビックリ!
テントを畳み2km先の当初の予定してた遍路小屋足摺へ向かうか迷いました。
それも大変だと結局はここに泊まることにして、ここから1.3km高台に登った足摺テルメの日帰り入浴へ行くことにしました。
荷物を背負わない1.3kmの登りはあっという間でした。
しかし、もうひとつの問題はカイの存在です。
カイを何処かに繋いで1人にはしたくないし、ビーニャさんにもゆっくり風呂に入ってほしい。
結局、ビーニャさんにゆっくり風呂に入ってもらい、その間俺がカイと一緒にいます。
そして、ビーニャさんが風呂から出てきたら湯冷めしないためにビーニャさんとカイはテントに戻り俺は風呂へ。
犬連れだと、こんな問題もわりと出てきますね。
時間が2倍かかります。
その後、日の暮れた坂道を1人で下り、テントの中で夕食を済ませ、3人で川の字になって寝ました。
温泉へ向かうとき、初めてカイが『行きたくない』と抵抗を続けました。
やっとテントを張って休んでたのに人間の都合で本当にごめんなさい。
ここまで書いて、日記が真っ白になりました。
つまりこれを書くのは2度目の日記。
今は足摺で野宿した翌朝。
今日も冷えてますよ。