ジョン万次郎の故郷を歩く 区切り遍路26日目②からの続きです。
土佐清水の町でコインランドリーに50分間費やす間に、俺は昼食と夕食の買い出し。
ビーニャはコインランドリーに残りカイを見ます。
少し離れた所にあるコンビニに記憶を頼りながら辿り着いてあらビックリ、閉店されてました…。
どうしましょ…、と迷った結果、近くにある弁当屋さんへ。
コンビニで捨てようと思ってたゴミ片手に店内に入るわけにいけないので、店の隅っこに置いて入りましたが、この選択肢が間違ってました。
店員さんとのやり取りでゴミから目を離した隙に『あれっ、ゴミがない!』
周りをよく見ると誰かがゴミを拾い、向こう側でゴミを分別をして捨てている真っ最中。
『しまった!!!』
四国の人に迷惑をかけてはいけないと、ゴミを持ち歩いてきたつもりが、結局はゴミのポイ捨てになってしまいました。
訊ねたところ幸い、店の関係者さんだったようで、深々と謝罪してコインランドリーへ戻りましたが、反省らさせられる出来事となりました。
土佐清水市で昼食と洗濯を終えて町を離れます。
左に土佐清水の町、正面に足摺岬、右にあしずり港が見えます。
ここに来てカイに疲れが急に目立ち出しました。
休憩すると歩きたがりません。
それに、歩き出しが“ひょっこひょっこ”と妙に変です。
犬に無理をさせないことがこの旅の大前提なのですぐに中止を話し合います。
宿毛市まで歩き通したい気持ちと、カイを心配する気持ちが揺れ動きます。
しかし、残念ですが遍路中止を決めます。
この旅は、ビーニャの都合で連れてきたカイのことを一番に考えなければいけません。
たまたま近くにあったバス停でバスの時刻を確認します。
ここからならバスで宿毛市に出ても、土佐清水の町に戻っても、車のある中村駅へは行けると思います。
時刻表を確認すると、あと3分後にバスが来ると言うナイスタイミングでした。
俺が車を取りに行って迎えに来ます。
しかし、今日は土曜日。
時刻を過ぎても「バスが来ないなぁ…」と改めて時刻表を見直すと、土日の時刻表は別で次のバスまで3時間あります。
迷いました…。
結局ここにいてもどうにもならないので、カイの様子を見ながら少しずつ歩くことにしました。
この子は抱っこを非常に嫌いますし、体重が25kg前後あります。
もし、キャンプ地、もしくはその手前のテントを張れそうな所までカイが歩けるのなら、
そこでカイを休ませ、俺が車を取りに行きます。
ずっと海で残りの距離はまだまだありました。
幸い歩き出して身体が慣れてくればカイの調子も戻って来てるように見えます。
もしかしたら、休憩した後の動き出しが人間と同じ様にキツいのでは?
俺もビーニャも休憩した後は身体が痛く、動きがとても悪くなります。
そうしているうちに途中からカイに元気が戻りました。
犬を見かけては走っていこうとします。
ひとまず安心しましたが、注意はします。
どうやらこのペースではキャンプ場に辿り着くのは18時前になります。
その手前のコンビニで先程買えなかった夕食と、明日から店が無いのでその分の調達、そしてカイの栄養補給をします。
海を見れば何処かで見たことのあるような、これは宮崎にある鬼の洗濯岩でしょうか?
まだまだ遠いゴール地点に向かって海を見て気分を紛らわせたり、無心で歩きます。
カイのシッポも少し下がってるかなぁ…?
頑張れ!歩け!歩け!
一歩!一歩!
徐々に海から離れ内陸部に入ります。
カイの調子もほぼ戻りました。
宿泊を予定しているスノーピーク土佐清水キャンプ場まであと4km程度でしょうか?
あとは約1時間のラストスパートだと、疲れ果てたビーニャと無心で歩くことを決めます。
ここで休憩を入れては更に辛くなる。
そんな時、
「こんにちわ~(だったかな?)」と隣に停まる一台の車から声をかけられました。
振り返ると、すぐにわかりました。
「ええっ!Sさん!なんでここに!」
Sさん「車多いから、そこの道の駅で待ってるね~」
苦しさ逃れから無心で歩いていた時の知り合いの突然の訪問に、一気に笑顔と元気が戻り、道の駅まで1kmほど歩きました。
道の駅めじかの里土佐清水です。
早速遍路小屋で休み、懐かしい梅ジュースやどら焼きのお接待をいただきます。
ビーニャさんのブログが切っ掛けで、家に1日泊めていただいたり、車を停めさせていただいたりしたSさん。
最近はSさん宅を通るのは、いつも深夜で挨拶にも行けてませんでした。
お会い出来ない寂しさを感じながら通りすぎてたのですが、まさかここで会えるとは!
道の駅土佐清水の遍路小屋で色々話してると、Sさんから、
Sさん「そうそう、よかったら温泉いかない?」との嬉しいお誘いが!
勿論、飛び付きました!
俺が野宿遍路で一番求めるお風呂に入れます。
俺が1番、他の人にしたいお接待がお風呂であり、まさかそれを自分が受けられるとは!
しかし、すぐにハッとさせられます。
『カイどうしよう…』
人の車に犬臭く、毛のつくカイを乗せるのは気が引けるし、カイを1人でここに置いておくことは出来ません。
それをSさんは「いいよ!お風呂も私がカイ君を車で見とくよ!」と、言ってくださりました。
お言葉に甘えて、
急いで野宿の許可を貰い、テントを張ります。
そして温泉の準備をして車に乗り込みます。
めじかの里土佐清水は遍路小屋あり、水道、トイレ、ゴミ箱ありのとても有難い環境ですね。
そこから今日歩いた道をそのまま戻り、昨日も入った足摺テルメへ。
車窓から『たった1日でもこんなに歩いて来た』としみじみと感じます。
昨晩は日暮れの山を下る関係でバタバタと温泉に入って名残惜しかったので、再び入ることが出来て非常に嬉しい。
きっと温泉に入るつもりで来ていたSさんをカイと車に残し、自分達だけゆっくり温泉に入るのは気が引けましたが、本当に有難いお接待を感謝してます。
遍路中は何よりお風呂の俺です。
「ありがとうございます」しか表現する言葉を知らないのが不便ですが、「本当に、本当に」と、この言葉を重ねることしか出来ません。
温泉からの帰りにスーパーに寄って夕食と明日の遍路の備えとカイの美味しい餌もここで入手出来ました。
そしてテントに帰り夕食です。
お陰様で今日は自炊をサボれます。
食器や調理具の片付けも最小限で済みます。
遍路も数日続くと食事量が物凄く増えていきます。
Sさんからのお接待のお菓子も当日に完食しました!
大好物のグミが特に美味しかった!
Sさん本当にありがとうございました!