遍路は遍路 区切り遍路36日目④からの続きです。
遍路小屋を通り過ぎて、その先にある窓峠との分岐点に着きました。
本当は歩いた経験の無い窓峠ルートに進んでみたかったのですが、ゴール地点である務田駅から宇和島駅までの電車の時間に余裕が無い状態だったので諦めました。
次回があれば絶対に挑んでみたいですね。
分岐点には遍路石があります。
きっと先ほどの遍路小屋にあったものをここに移設したのでしょう。
明治42年、中務茂兵衛の229巡目の遍路石ですね。
指差しで道案内と、茂兵衛や施主の名前や住所が刻まれております。
県道を登りながら視線は窓峠方面へ。
「歩いて見たい…」と悔いが残り、本当に悔しいです。
電車の時間もですが、今回の目的地が41番札所龍光寺ではなく務田駅なので、龍光寺へ向かう窓峠を歩くことは今回の旅には不向きでした。
(注)窓峠に関しては間違っている情報の可能性があります。以前ここら辺で窓峠を示す看板を見た気がするのですが、今回は見当たらず、窓峠の情報を見直してみようと探しますが確認できておりません。
ここまで来れば、後は代り映えの無い道をほんの少し登るだけ。
後ろを歩く人とは差が開いてますが、振り返ると近所の人に呼び止められミカンのお接待を受けている様子ですので更に差は開きます。
歩く速度も違うけど、御互いの連れている犬の”クンクン”や”しっこ”でもまた差が開きます。
登り坂をほぼ登り終えました。
向こうに見えるカーブを曲がればそこに交差点と立派な遍路石があり、三間の町が開けているでしょう。
この旅の終わりの務田駅も見えるはずです。
旅の締めくくりに「ふぅー-」っと息を抜き、遅れている後ろを振り返り待ちます。
っと、目に入ったのは、
先ほどの写真の壁に隠れていた遍路道でした。
ここは歩いたことの無い遍路道で、外国人向けの遍路地図に書いていたこの道を探しながら歩いていたので見つけられて本当に良かったです。
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正直申し上げると、単に八十八ヶ所歩くだけなら俺に遍路地図は必要ありません。
しかし頭の中にある地図で歩くと、こうした新しい情報や遍路道に出会えないので、最近は地図やネット情報をかなり細かく確認しながら歩いています。
これがかなりめんどくさいのですが、頭の中の地図は現代の遍路地図であり、これから先歩きたい道は、それ以外を求めております。
先ほどの遍路道には小さな遍路石もしっかりと残っておりました。
「四十一番へ廿丁」
この遍路道は、ほんの一瞬の峠道であっという間に登り終えます。
登り切った脇にお墓と多福院と記載されているお堂がありました。
ここ付近では野宿レーダーがビンビンに反応してましたね。
いい道を通れました。
すぐに三間の町に下り、目の前には務田駅が見えます。
踏切も見え、本当にこの旅の終わりを迎えます。
宿毛駅から始まり、39番札所、40番札所と、そして、大冒険した篠山道と野井坂が見せてくれた沢山の番外札所。
遍路人生で一番大きな冒険となった今回の旅でしたが、7日の予定で5泊6日の遍路と言う短期勝負の旅となりました。
コロナの影響により約2年間延期となった篠山をやっと越えることができました。
15時頃、今回の旅のゴールである務田駅に到着。
無事、ゴールまで2人と2匹で来れたことや、これで久万高原町まで繋がったことを喜びます。
電車が来るまで約30分ほど待ち、
俺は1人で宇和島駅へ。
そして駅からバスに乗り換え、車を停めている昨日の野宿地まで移動。
大変だったけど、今朝、車を宿毛から運んできていて良かった。
車を回収したら近くの無料高速道路に乗り、そのまま務田駅近くの三間インターまで突っ走り、そこで待つお山さんと犬の元へ。
務田駅について驚いたのは、線路脇に座り込むお山さんと寝袋に包まっている犬の姿。
明らかに異様な光景で、待っている間の防寒とは言え目立ちすぎていました。
案の定、心配した歩行者のおばさんから「今日泊まるところあるの…?」と声をかけられたとか。
ダウンのフードを深くかぶり、線路脇で体育座りしている姿に心配したのでしょう。
“ガチ野宿装備”と言われる我々ですので、そう見えてしまいます。
お山さんは俺を待っている間、この旅を思い出していたら涙が溢れてきたらしく、泣いていたそうです。
きもちわるいですね。
この涙の感覚は、遍路を経験した者ならわかると思います。
本当に凄く大変だったけど、いい旅が出来ました!
お山さん達を車に乗せ、現代の世界に戻ったら一気に宿毛へ戻ります。
俺は今朝車を取りに行ったばかりなのですが、歩き終えたら今回お世話になった人達に出来るだけ御礼に回ろうと決めていました。
今晩は宿毛のいつものキャンプ場でキャンプして、翌朝39番札所からお礼参りする予定です。
今回歩いた距離は100km程度で短距離となりましたが難所が多かったですね。
この夜、俺は疲れからかスナック菓子を食べていて歯が折れます。
遍路恐るべし…。
これを書いている2ヶ月前の今日は、翌日に篠山を控えて一本松温泉付近で野宿をしております。
今でも目を閉じれば昨日のようにこの旅を…、篠山を思い出します。
そして、毎年恒例化しかけていた誕生日は四国で野宿をしながら迎えるのも、仕事の都合により中断しておりますが、
本来であれば今ごろ、明日の誕生日を前に四国の何処かで寝袋に包まりすごいていたのでしょう。
俺の30代最後の日があと数時間で終わります。