遍路

愛されている登山道と山水 区切り遍路43日目①

山の谷間で寒さを叫ぶ 区切り遍路42日目④からの続きです。

 

標高約300mにある山間の湯波休憩所での一夜が明けました。

昨晩はとんでもない夜でしたね。

山水が豊富に湧き出るのをいいことに、お湯を沸かし、水で温度を調節し作った約2ℓの貴重なぬるま湯と、こんな時の為に持ち歩く折り畳み式の携帯シャワー。

この先、道路工事も中断された山中の通行止めの奥まで歩き、隠すところは隠して大好きなシャワーをいざと言う時に起きた悲劇。

掛けたはずの携帯シャワーの袋が走馬灯のようにスローで地面に落ちていく…。

 

「あ~~~~~~っ!」

 

 

パシャーーーン!

 

 

そして残ったのは、真っ暗な山の谷間に、ほぼ裸の俺がぽつ~ん。

 

寒い。

どうすることも出来ない。

 

俺「お山さ~~~ん!」

 

 

俺「お山さ~~~ん!」

 

 

 

俺「お山さ~~~ん!」

 

 

その後、馬鹿だの、何だの言われながら、何も反論できないまま次のお湯が沸くのを縮こまって待ち…、さっとかぶって、さっとテントに戻った。

今思い出してもみすぼらしい…、大自然の中にほぼ裸で取り残された俺。

 

南無大師遍照金剛…。

 

これも遍路修行のひとつ。

 

空海「水に打たれなさい」

 

俺「寒いから無理です」

 

空海「それも修行です」

 

俺「いえ、ぼくはしゅぎょうをしにきてるんじゃないです」

 

清潔を保つもの修行の1つ。

修行とは苦しみを求めるものではない。

今日は10mも歩けばそこは登山道入り口。

四国八十八ヶ所第3位の標高のお寺に登る前に、ご飯をしっかり食べて体力を回復させときましょう。

因みにテントの中はいつも散らかり放題です。

外が明るく見えるのは照明のお陰で、実はまだ夜明け前です。

最近新たに追加した照明です。

ソーラー発電なので電力を確保しなくてもいいのがメリットで手軽だと思い購入しました。

見た目とは違って結構高価なものですが、LEDライトが綺麗で、今のところ使い勝手は車中泊共にいい感じですが、今までのヘッドライトでも十分に事足ります。

しかし2個のヘッドライトでは食事や調理の時など、頭と共に動く灯りなので不便な思いもします。

テント内を照らす灯りと別に手元を照らす灯りがあると便利ですね。

重さは自由への扉、気にしちゃダメ。

煩悩の重さと言う人もいるらしいですが、きっとお宅ら野宿じゃないでしょ。

更に追加したのは空気で膨らませる枕です。(横に写るクウちゃん可愛い!)

実は以前モンベルの枕を購入したのですが、これに関しては中に少しのクッションも入っておらず本当空気のみだったので使い心地が非常に悪く、遍路の途中でデンマーク人にプレゼントしました。

今回追加した枕に関してはクッションが薄く中に入っているので寝心地はそこまで悪くなく、値段も非常に安く再購入に至りました。

俺の不眠の原因はいくつもあるのですが、旅の時に関しては枕の影響がかなり大きいですね。

衣類を枕に代用してもしっくり来ませんし、空気だけの枕は便利なようで、それに重みが加わるとかなり反発の強い硬い物体と変化し、頭が痛いほどの寝心地をプレゼントしてくれます。

野宿をさせて貰っていて贅沢を言える立場にありませんが、やはり布一枚の移動式の家で生活する訳です。

物音や、風の影響をとても受けますし、暑さ、寒さと、本当に自然と数ミリで接して過ごします。

昨晩は何台も山水を汲みに車が訪れたこともあり、物音や車の明かりで眠りが殆んど取れた実感が持てませんでした。

車のライトがテントに当たれば、テントは照明化しますので目もパチッと覚めてしまいます。

それにしてもこんな山奥に、しかも日付も変わった真夜中に水を汲みに来るなんて怖くないのでしょうか?

 

水汲みの人「あら、やだわ、あの人たち、よくこんな所で眠れるわね。怖くないのかしら?」

 

今のところ恐怖体験は一度もごぜーません。

さて、飲み水と昼食の水を調達して60番札所横峰寺へ登りましょうか。

野宿ポイントに水があるのは本当に有難いです。

ここまで、そしてこれからの水を、ここまで背負ってこなくていいこと。

調理の水、手洗い、歯磨きなど、清潔を保て、食器もすすげること。

 

シャワーを浴びれること!(注 食器洗い洗剤共に使いません。ってか懲りてない)

予定よりも早く準備ができたので、いざ、アタック開始!

ここを登るのは3度目、横峰寺に歩いて登るのは4度目ですね。

流石に、

何も、

珍しくない。

ただ、横に流れる川が綺麗で「水浴びしたいな…」と既に汗を流したい欲求が。

遍路をしている時の俺の頭の中は、本当に風呂が殆んどを占めている。

そんな俺の横で自由気ままに水に飛び込む2匹…。

 

それにしてもいい遍路道です。

ずっとこうだったらいいのに、遍路道の殆んどは日常と何も変わらないアスファルト道。

歩いて初めて歩く、人体に悪影響な硬い地面。

息を切らしながら登っていると、途中に地蔵さんと遍路石を見つけ声を上げる。

いったい今までどれだけの、そしていつの時代からの遍路を見てきたのでしょうか。

そうお地蔵さんに問いかける。

 

勿論、返事は何一つ帰ってこない。

この道にも沢山の船型地蔵や丁石が残る。

今回の旅は今日で終わる。

突然宮崎に強制送還された前回からすぐに訪れた丸3日の遍路。

お陰様で、最終日と言うこともあり軽くなった荷物でこんな急勾配な山道をスイスイ登れます。(注 軽い=20kg未満)

そして、

振り返る~と、いつも君~は、そこにはいない~。

 

下の木々に溶け込むお山さんカイ

そして、待っていると、笑顔で登ってきます。

横峰寺は難所とは言え標高750m程度の寺です。

難所のようで短期勝負であっという間に登りますよ!

 

わかりますよね?

山を歩くだけに、書けることがあると思いまして?

 

遍路と言えば、日常からかけ離れたとても過酷な世界をイメージしやすいですが、実は登山客などに愛されている道がとても多く、例えば四国八十八ヶ所で1番の難所である”遍路転がし”12番札所焼山寺など休日には登山客を多く見かけます。

 

 

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