遍路

遍路宿の苦い思い出 区切り遍路38日目⑦

膝が悲鳴をあげる三坂峠 区切り遍路38日目⑥からの続きです。

とにかく長い久万高原町から続く三坂峠を下って来ました。

車のスピードで見る景色と、重い荷物を背負ってゆっくり歩きながら見る景色は、同じものを見ているようでも全く違います。

車を使った八十八ヶ所巡りと、遍路(もちろん徒歩限定です)の進む道も、アスファルト道と遍路道で殆んど違う所を歩いているわけです。

こうして畑に置かれた生首もまた、遍路ではたまに見る景色。

その殆んどはホラーですが効果あるのかな?

畑の害獣対策の数々も色んな発想があって見ごたえありますよ。

ここまで随分と下って来ましたが、本当に長く急な下りに疲れました。

何より膝が痛いです。

右にチラッと写るガードレールが車道で、こっちは見るからに古の道。

前回のブログで三坂峠の途中から見た景色の写真中央の谷間付近まで来たでしょうか?

意外と歩くのって早いもので、気が付いたらあっという間にさっきまでいた場所が遠くに見えます。

番外札所、網掛け石まで来ました。

昔、三坂峠の通行の邪魔になっていた大きな石を空海がかずらで作った網に入れ天秤棒にぶら下げて運ぼうとした。

しかし、その棒が折れてしまい、片方の石は山に飛んで行き、片方は川に落ちた。

そのうちの一つがこの巨石で、網目が付いています。

はい、信じてません。

とは言え、ちゃんとお詣りし、お賽銭も番外札所や別格札所のみ惜しみなく入れます。

この辺りからポツポツと民家が増えてきました。

この公民館は以前カップ麺を食べた思い出の場所。

三坂峠の東屋でお湯を沸かすことに躊躇して、ここで食べることとなった場所ですが、そんな場所すら懐かしい。

道脇にお地蔵さんが目につきましたが、民家の一部に大切に祀られております。

歩いていると沢山見かけますが、そのたびに古の遍路を伝えるものなのか問いかけます。

松山市に入ったのか、この辺りは個人的には迷路の部類に入ってます。

振り返ると下ってきた三坂峠。

時刻は既に焦る時間ですね。

曲がって、曲がって、曲がってと46番札所を目指す。

途中の橋のたもとにあったのは「へ」から下が埋まった遍路石。

こんな姿であっても、残っていてくれるのが本当に嬉しい。

調べようは無いけど、文献を見る限りでも物凄い数の遍路石が失われてしまっている。

たまたま見つけたここにも遍路石。

久谷支所出口出張所の出口じゃなく入口にありました。

歩きにくい細い道を犬を連れてゆっくり歩き、遂に46番札所を目視します。

その目の前には大きな遍路宿長珍屋。

遍路を始めた15年くらい前は結構耳にしたり、看板を見かけたりした有名な宿ですが、最近見かける限りでは元気が無さそうです。

長珍屋を見上げながら自転車遍路の時の思い出がよみがえりました。

あの日は内子を出発して日が暮れたころにここに辿り着きました。

ここに向かう道中、まだ高速道路の出来ていない交通量の多い国道の三坂峠を必死に下りながら俺には一つの気がかりがあったのでした。

それは今晩の酒。

長珍屋に着くまでに店も無く、大量飲酒者であった俺は遍路宿の高価なビールなど、とても手を出せる物ではありませんでした。

少しでも安く大量の酒を…、そう、毎晩、宿については次から次に缶ビールを飲み干し空にしていく。

ある程度飲んで落ち着いた頃に、今度は処方量を超えた睡眠薬や精神安定剤をビールで流し込み、気絶するまでダラダラと飲んでいた。

朝の出発はチェックアウトギリギリで、日が暮れても走れるだけ走る、今となっては絶対にやらない旅のスタイル。

俺「近くに店はありませんか?」

受付「遠くにしかないよ、どうしたの?」

俺「いえ、ちょっと薬を切らしてしまって…(宿のビールが高いから買いに行くなんて言えない)」

受付「なんの薬?」

俺「いや、ちょっと不眠症を持っているので…、睡眠薬なんですが…」

そんな嘘をついてまで飲みたかったビールを、その日素泊まりだったのを急きょ「余り物でいいなら」と夕食を用意してもらい2,3杯のビールで何とか我慢して寝た思い出があります。

本当に何をやっていたんだろ…。

正しい知識さえあれば…、とは言え、あの頃に戻れるとしたら、自分を抱きしめてやりたいです。

根性がありすぎるからなる病気とも表現される依存症…。

「そんなに我慢して苦しみ求めて自分を抑えつけて生きんでいい」って…。

それを強制した親父が亡くなって10年過ぎても取ることの出来なかった刷り込み。

何もかも一人で抱え込んで無理(麻痺)しないで、もっと人と調和して…、楽に…、生きて。

しかし、これもまた、あの時の俺に必要で通った遍路修行道。

人生即遍路。

そんな後悔とも言える思い出を四国各地で思い出しながら今でも歩き、辿り着いた46番札所浄瑠璃寺。

境内に入ってすぐに遍路石のお出迎え。

時刻は16時頃、1日歩いた犬達も疲れているのか、いや、尻尾が残像になっているこの子は元気いっぱいだ。

道も分からないのに先頭を歩くなんちゃって先達犬。

立ち止まると不安になって振り返り尻尾を振ります。

ここに来るのは2人ともの楽しみでした。

四国八十八ヶ所内でもトップ3に入る大好きな浄瑠璃寺。

さて、薬師さんにお詣りしましょう。

 

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