寒い・・・、寒い・・・、寒い。
これを書いている今は遍路3日目の夜明け前です。
この旅で一番冷えている。
冬用寝袋をシェラフカバーで包んでも寒く結露もあります。
某公園で一夜を明かし、遂に本日あの篠山神社を目指します。
昨日は温泉に入れましたが、体はバキバキに痛く、テント設営後にコインランドリーまで1,5kmを2往復しました。
辛いけど何故か「生きてる」って実感を毎回の凄く不便な野宿遍路で感じるのって何故なのだろう?
この遍路の世界って本当に生きてる実感が半端ない。
これを書いていて涙が出てきたってことは、やっぱりまだ生きたい、生きてることが嬉しいってこと?
きっと何故生まれてきたのかが解らず、生きてる感覚が持てなかったあの頃の涙だろう。
今のこの気持ちを書き残そう。
便利や快適がすぐに感謝を忘れさせてしまうから。
それでは区切り遍路31日目の続きへ。
宿毛市街へ向かう旧道を歩き、宿毛の遍路小屋まで来ました。
ここは特大クラスの遍路小屋で、1巡目に歩いた時は昼からお酒を飲んでいる長い白髭の仙人が住み着いておりました。
せっかくの遍路小屋ではありますが、我々は手前から気になっていた案内看板にある「まちのえき林邸」を見てみたいので立ち寄りませんでした。
宿毛の遍路小屋から道路を挟んだ向かい側には小さな林があります。
少し見る角度を変えると2メートルほど低い場所に竹大師と呼ばれるお寺がありました。
手元にある本にはここについて特別な記載はありません。
2巡目に歩いた時に地元の方に「拝んでいった方がいい」と勧められ、当時は八十八ヶ所や別格札所にしか興味が持てなかったので軽く流しましたが、時も変わり、何か珍しいものが無いだろうかと興味津々で見て回ります。
もちろんお目当ては古い遍路石や石仏なのですが。
するとありました!
境内の隅っこに小さな遍路石です。
「大発見だ!」と興奮して喜んだけど、ここはネット情報にも載っていた善照寺というお寺のようで、通称が竹大師なのでしょう。
竹大師を出ると、まちのえき林邸はすぐそこにありました。
以前アラフィフさんとの会話に出てきた「きれいなトイレがある場所」を、その時の俺は思い出すことが出来なかったのですが、きっとここのことでしょう。
新しいので一巡目に歩いた時はまだ存在しておらず、2巡目のときはビーニャさんの話ではこの手前を曲がったらしいですね。
トイレ休憩のために立ち寄るついでに探検してみます。
ここまで15kmほどは歩いたでしょうか?
犬達も疲れが出てきたのか伏せて休むようになりました。
実はこの林邸には俺の大好物があり、看板に表示されていたその存在に興味が半端なかったです。
それがこちら!
100円で5分のコインシャワーです!!!
ここでシャワーが浴びれるってことは、この付近での野宿も可能となり、近くには遍路小屋も河川敷もあります。
しかし、時刻はまだ午後2時過ぎで野宿するにはまだ時間も早いし、歩いた距離も短すぎます。
おまけに有難いことに今の時期はそこまで汗をかかずに(それでもかいてます!嫌だ!地獄だ!)まだ遍路を始めて半日の今、シャワーへの欲求もそこまで強くない。
今は諦めま・・・、
せん!
これから後に絶対汗をかいてしまう松尾峠に登るわけですが、俺はシャワーを目の前にして逃げれる男じゃない!
そこにシャワーがある限り、うたれてやりましょう、その滝行!
凄く綺麗なシャワールームで、とても快適なひと時でした!
さて滝行も済ませ、その目の前にある文教センター敷地内にも遍路石があるとの情報を得ているので探しに行きます。
が、
広い敷地を2周しても見つけられない・・・。
一番怪しい庭園の石たちを注意深く観察してもそれらしい石は無い。
いや、1か所だけ、1週目に歩いた時凄く遍路石レーダーが反応した場所があったのだけど、軽くだけ覗いて「まさかこんな酷い所には置いてないよね」と通り過ぎた場所があったのです。
敷地を2周して「無かったね。きっと施設内に展示してるんだよ」と文教センターから離れたとき、念のため怪しい場所をしっかりと覗き込んでみました。
「あった!!!」
俺が覗いたのは柵の奥に写る道路から。
そこから見えた無残に横たわる2本の細長い石。
急いで文教センターの敷地に戻り確認をします。
いや、これは間違いなく遍路石でしょう。
隣の家のおっちゃんが遍路石を発見時から興奮している俺のことを不思議そうに見ている。
「何見てんだ?やるのか?あっ?」
近づくとすぐに目に入った観自在寺の文字。
「觀の文字が古い!」と大興奮です!
俺を一番喜ばしたのは「觀自在寺」ではなく「觀自在寺道」であること。
たまに見かける〇〇道と書かれた遍路石。
たびたび書いているように、俺の遍路は88個の点ではなく、それを結ぶ線の遍路なんだ。
大満足して文教センターを後にした。
もう一個あるはずの遍路石はここから少し離れており、目指す松尾峠からも離れていたので歩きでは無理と判断しました。
文教センター付近には〇〇邸跡が沢山ありました。
高知県宿毛市に偉人が多く住んでいた理由は何でなのでしょう?
相撲が好きだった俺には豊ノ島しか思いつきませんが、吉田茂程度なら名前を聞いたことはあります。
ここから遍路石を探した関係で、正しい遍路道からは少し外れて歩いていたようです。
遍路石のことで頭がいっぱいになっておりました。
さて、今日の野宿予定地は標高約270メートルの松尾峠にある遍路小屋か、その登り口にある子安地蔵堂です。
体力があれば松尾峠から更に8キロ先にある、昨日車で立ち寄った一本松温泉がありますが、温泉に入れるとは言えその可能性は低いでしょう。
これから峠を登り、水も電気も無い遍路道脇で一夜を明かすとしたら食料など手に入れとかなければいけません。
峠を登る訳だから少しでも荷物が軽い方がいいで・・・、しょ・・・?
「ああっ?水もない山の中でどうやって過ごすってんだ!?」
こっちは2人と2匹の夕食と水を必要としてるんだ!
どうせ背負うのは俺なんだ!
今から軽い3つの谷を上り下りして、標高10メートルから一気に270メートルの松尾峠に登るっていうのに、
「水4kgさんこんにちわ!」ってんだ!
その他にも夜のおかずを買って、今日の夜に備えました。
現在の僕のザック。
ハイドレーションに水1リットル。
米15合(2,25kg)
水4リットル。
ローソンで買ったおかずと非常食など約1kgの、食料と飲料水だけで8kg超えというとんでもない状態になりました。
その他にも野宿装備や自炊セットがあります。
実はこの時、「真冬の松尾峠でシャワー浴びてやる!」って願望があったのですが、後にその重さに凄く後悔することとなります。
しかし、やっぱり2匹と2人の命は守りたい重さです。
とりあえず、これにて、
ずっと億劫だった宿毛駅からの打ち戻りは終わり。
さて、明日の打ち戻りに向かって進むぞ。
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