遍路

篠山に登る 区切り遍路33日目 ④

この辺りの地名を御在所と言うのでしょうか?

貴重な自動販売機を過ぎてすぐに民家が無くなります。

後ろを振り返るとお山さんカイがゆっくり歩いてきます。

「やれやれ…」と思いながら追いつくのを待っていると、ふと横にある小さな古い橋が目に入りました。

俺「あっ!!!!」

 

完全に油断してました。

ここが目印にしていた、

篠山橋!!!!

標高100mの篠山橋を右折してすぐに篠山神社の二の鳥居があり、そこからいよいよ標高1065mの篠山への修験道が始まる大切な目印の橋!

 

勝手に県道322号線を直進して左折と思い込んでいたので、お山さん達を振り返らなければ篠山橋に気づかず真っ直ぐ歩き続けていた!

 

こんな話をすれば必ず、

お山さん「ほらね!私のお陰だよ!」とか言うだろうけど、人の後ろをついてくるだけの人は置いといても、本当に素通りしそうで危なかった!

俺が気づかず真っ直ぐ進み続ければそのまま後ろは着いてきただろう。

 

ここがあの篠山橋か!

と言うことは…、

俺「あれは二の鳥居か!!!」

 

これから山を登るというのに夢にまで見た場所を目の前にして大興奮してしまった。

札掛の篠山神社一の鳥居に続き、二の鳥居さん会いたかった!!!

本当に会いたかった!

あなたの後ろの遍路石にも会いたかった!

しっかりとお辞儀をして入山します。

 

歩き出してすぐに「スリッパじゃいかん!」と思い出し、トレッキングブーツに変更。

そして明日の篠山からの下りは地図に無い裏参道を歩くので遭難も予想され、念のため母に入山の知らせをラインで送った。

二の鳥居の裏を上がると遍路石の案内通りに、いきなりクネクネと登っていきます。

登りだして5分も持たずに、先を歩くお山さんを見失います。

登りになるといつも凄く弱いはずのお山さんが今回の遍路ではとても登りに強く、逆に俺が全くダメでした。

荷物が重すぎる…。

いや、いつもと重さはそんなに変わらないはずなのに、何で…?

全くダメです。

 

お山さんめ、ザックの中身殆んど入ってないな!?

答え:カイが引っ張って登っていた。

 

登り坂に汗も一気に噴き出してくる。

今日はどう考えても風呂に入れないのに…と、その場で来ていた服を一枚脱いでザックに詰め直す。

あんなに先にお山さんを見つけながらも追いつけないし、見失うし。

体力が落ちたのか、体調が悪いのか。

ああ、そういえば俺は今鬱っぽかったり骨折してたりで凄く不調だから「四国に呼ばれている」って言ってた奴もいたな。

いや、と言うことは、いつの間にか四国を歩いているうちに鬱の存在を忘れて歩いてたってことか!

必死に、必死に、必死に、

鬱を忘れてしまうほど必死に歩いていたのか!

 

遍路パワー恐るべし!

やはり百薬に勝る遍路!

こちら側からの登りで唯一の遍路石のお出迎え。

知らない土地で、衣食住を全て背負い、

一日にそれだけの選択肢を判断して、俺は旅をしているのだろう。

道しるべも色あせた古の道を歩き、

必死に生きているのだろう?

そんなことは、もうどうでもいい。

右、左、右、左。

立ち止まってもいいんだ。

自分が決めた目標まで、諦めずに歩みを続ければ、必ずそこに辿り着く!

と、

当時を振り返り、今気づかされたことを書いておりますが、

本当にこの時は10歩進んでは立ち止まってと繰り返し、歩いているより止まっている方が長く感じて、

遥か頭上を登るお山さんを追いかけた1日でした。

写真中央、わからないほど遠くの頭上にお山さんがいる…。

それの繰り返し。

 

ザックを交換しましょうか?

 

この時はまだ篠山山頂も遠く、篠山を登っているというよりは篠山に尾根を歩き向かっているといった感覚でした。

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