遍路

地元の人とのふれあい遍路 区切り遍路42日目③

石遍路 区切り遍路42日目②からの続きです。

我ながら、最近のブログは遍路石のことばかりになっていると可笑しくなるのですが、遍路の歴史を感じられる”これ”が今一番の楽しみとなっているのも事実です。

そして今日もまた石の話になるのでしょうか?

前回のブログは別格10番札所へと、88ヶ所ルートの分岐点で終えましたが、今回はその先の初めて通ることになる88ヶ所ルートから始まります。

短い区間ではありますが、どんな遍路道で、どんな風景が待っているのか楽しみですね。

分岐を過ぎてすぐ左手に小さな神社が見えました。

Shikoku Japan88 Route Guigeによると、何らかの遍路に関わるものがこの付近にあるとマークが付いており、このパターンの多くは大師堂です。

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よく見ると”和霊神社”と表記されており、宇和島を思い出しながらこれが遍路の何なのか疑問に思いましたが、それはすぐに解決します。

神社の裏に大師堂がありました。

手前の石柱にはしっかりと「本尊四国八十八ヶ所霊場」と彫られており、えひめの記憶によるとこの大師堂は通夜堂も兼ねていたとのことです。

それより俺の目を引いたのは大師堂前にある石灯籠でした。

「是より生木へ三十八丁」と彫られたこれは別格11番札所”生木地蔵”を示す遍路石でもあったのでした。

石灯籠の遍路石というレアさに大喜び!…のあまりに写真撮影を忘れる…。

実はこの時、ここを管理されている方と長く話し込んでいた。

おそらくこの建物を建てた方の子孫にあたる方であろう。

休憩を進めてくださったり、荷物置きとなっている和霊神社内を恥ずかしがっていたり、ここの歴史を教えてくださったりと、かなり長い時間話し込んで、最後には犬連れ遍路が珍しいと写真撮影をしてお別れしました。

和霊神社を後にしてどんどんと南下し小松を目指します。

この辺りにもなると前方に石鎚の山々や、左手には西条市の街並みが見えてきます。

橋を渡った先にお堂が見えますね。

地蔵堂と2基の横峰寺を示す遍路石がありました。

中には空海さんが座っておられます。

この辺りで時刻は12時を迎え、どこか昼食がとれそうなところを探しながら歩いていたので、この川沿いの道で休ませて頂くことしましょう。

今日も昼食は臼井御来迎近くのそごうマートで購入したカップラーメンです。

軽量でそれなりに美味しく、お腹も膨らみますが、水が必要ですよ。

それプラス、ミカンとお菓子とコーヒーですね。

っと、ここでピンと来た方は鋭い。

上の写真に写るものは全て、ついさっきお接待で頂いたものなのです!

トボトボと歩く我々の前方に停まった軽トラから降りてきた若い夫婦。

犬を連れている我々が珍しかったのでしょう、笑顔で犬を触りながら沢山のお接待をくれました。

キャベツ農家のとても優しそうな若夫婦で、きっとこれは今から自分たちが食べる物だったと思われますが、それを俺達に下さったのです。

ビタミンが取れる果物はとても嬉しいお接待ですし、カフェオレなどのコーヒーもまた甘く体力になるものです。

あっという間に完食しました!本当にありがとうございました。

川沿いの農道に座り込みお湯を沸かします。

昼寝が好きなカイは隙あらば横になって眠ります。

この子にとってこの旅は楽しいのでしょうか?苦しいのでしょうか?

それが分かってあげられないのが悩みでもあります。

人によっては長距離歩かせることを好まない人もいるでしょう。

人によっては長距離歩かせないことを好まない人もいるでしょう。

家にいることが幸せなのか、自然にいることが幸せなのか。

わかりません。

今日の目標は60番札所への登り口にある休憩所です。

四国八十八ヶ所の中でも指折りの難所なので、明日に備えて登り口にスタンバっとく作戦ですが、その為にもある程度の移動が必要となります。

ゆっくりかつ、きびきびとメリハリのある旅を心がけて、ダラダラ休憩せずに出発します。

歩き出して直ぐに後ろを振り返れば、もう既に居ない

拡大するとわかりますが大分後ろを歩いているのが分かります。

決して俺が歩くのが早いわけではなく、他の男性と比べても俺は歩く速度が遅い方に入ります。

しかし、歩き出してすぐに”これ”を1日100回くらいは繰り返し、いつも振り返り待ちます。

徐々に町も近づき、丹原町役場前を通りかかると、ここにも松山札辻への道標が。

十里なので約40kmでしょうか、「そんな近くは無いよ」と思ってしまう人は”四国病”であります。

西条市からわざわざ海沿いの今治を回る必要など無く、直で松山ですよ。

札辻とは、幕府の法令を書いた高札場がある辻で、罪人の晒し場ともなった。松山札ノ辻は松山城下にある

60番札所への初めて歩く88ヶ所ルートの何もかもが珍しく、商店街をキョロキョロと歩きます。

すると商店街の中に見事な袖の遍路石を発見!

店の目の前にあったこれをマジマジと見る俺と、犬連れ遍路を明らかにネガティブな目で見る地元住民。

もう、これだけ目立つので、極力人間とは目を合わさないことを意識して歩いております。

だから好意的な方にとって俺はとても近寄りにくいと思います。

ごみんなさい。

殆どの方は随分と後ろを歩く後ろに声をかけるので、更に差は開きます。

そして大抵ビニール袋や飲み物片手に笑顔で歩いてきます。

この辺りにもなると生木地蔵も過ぎ、別格ルートとも合流し、いつもの景色ですね。

目の前にはどんどん大きくなっていく石鎚連山。

現代の遍路の多くはここら辺から小松の宿に向かって左に進むのかな?

我々は真っ直ぐ横峰寺を目指します。

あの山の谷間を縫って登山入口まで歩いていくんです。

「どの谷間?」って後ろからも聞かれますが、あの谷間なんです。

あの筋を入って行く…と、分かるんです、四国のどの景色も。

あそこをああやって歩くんです。

「どうやって?」

右には一度泊ったことのある湯の里小町温泉 しこくやが見える。

今日は入れる予定の無いお風呂の誘惑が…、しかし往復2kmも遍路道から逸れないといけないし、そこからがまだ遠い。

葛藤する俺の横を片手を上げながら通り過ぎる軽トラ。

「誰やお前!」じゃなくて分かるんです。

そう思って目をやると、やっぱり車の後ろには”88ステッカー”貼ってやがる…。

そんなおっちゃんとその先の精米所で「今日は星が森は綺麗だろうね~」と立ち話。

このおっちゃんは彼是30年近くゆっくりゆっくりと区切って遍路をされているそうで、現在3巡目とか。

3巡目は同じだけど、30年前からとは、遍路の移り変わりを沢山見てきたのでしょう、本当に羨ましい限りであります。

残念ながら、今日は星が森まで届きません。

今から山に入るのでこの先のコンビニで明日の昼までの食料を買い込み、往復2kmの温泉は諦め、山に向かって行く我々でございました。

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